質問
質問者
私は私立大学医学部を志望している2浪生で、1浪目から同じ大手予備校に通っています。「1冊の参考書や問題集を何度も繰り返しなさい」とよく言われますが、1浪目に使っていた大手予備校のテキストはどれも3回以上は繰り返して、自分ではマスターしたと思っています。しかし、先日受験したセンター試験型の模試では、英語(筆記)が130点、数学ⅠAが75点、数学ⅡBが70点、化学が72点、生物が70点という結果でした。自分では真面目に頑張ってきているつもりなので、今後何をどのように学習すべきか途方に暮れています。アドバイスをお願いします。
回答
大手予備校のテキストをどれも3回以上繰り返して学習したのですね。大手予備校のテキストの中には薄いものもありますが、どれも3回以上繰り返したとなると、結構な勉強量になっていると思います。その頑張りは本当に素晴らしいものなので、得点に結びついていないのは心から残念です。しかし、私は東大螢雪会で数多くの浪人生の学習状況を見てきておりますが、実はこのような状況に陥っている生徒さんは意外にも多いものです。勉強していないから学力が伸びないのは仕方がないにしても、ご質問の方のように一生懸命勉強しているのに学力が伸びないのであれば、途方に暮れてしまうのももっともです。ここで、このような状況に陥っている生徒さんによく見られる問題点を挙げてみます。
【勉強に時間と労力を費やしているのに、学力が伸びない生徒さんに見られる主な問題点】
<問題点1>
- 「この事項はマスターした」と判断する場合の習熟度のレベルが低い。
- どういうことかと言うと、例えば、「1ページ目を勉強して、このページはマスターしたから2ページ目に進もう」と判断する場合における1ページ目の習熟度について、医学部に合格する可能性の高い生徒さんが90%程度を目安にしている場合に、70%程度を目安にして勉強しているのであれば、この差の20%が合否を分けることになるということです。別の言い方をすれば、全てのページにおいて80%程度の習熟度を目安にすべき教材について、50%程度の習熟度を目安にして勉強しているのであれば、その教材を何度繰り返しても、一向に合格レベルには達しないということになります。
では、勉強している全ての教材の全てのページについて、100%の習熟度が必要なのでしょうか?もちろん答えはNoです。医学部の過去問を見れば一目瞭然なのですが、入試では問われやすいものとそうではないものがあります。そのため、勉強を進める段階で、「このページのものはよく出題されるので、目安とする習熟度を上げよう」とか、「このページのものはあまり出題されないので、目安とする習熟度を下げよう」といった正しい調整ができれば、勉強の効率が格段にアップします。しかし、このような正しい調整を生徒さん自らが行うことは、かなり困難だと思われますので、信頼できる講師から直接適切な指導を受けるのがよいと思います。
<問題点2>
- 自分では気付いていない弱点が散在している。
- 大手予備校のテキストには、受験で問われやすい内容が網羅的に盛り込まれているはずです。そんなテキストをどれも3回以上繰り返して、しかも「マスターしている」と思っいるのであれば、自分では気づいていない弱点が散在している可能性が高いと言えます。このような状況に陥ってしまっている場合にも、信頼できる講師からマンツーマンの指導を受けて、自分では気付いていない弱点を見つけてもらい、それを克服してください。そうすれば得点力が格段にアップします。
<問題点3>
- 使用している教材の答えを暗記してしまっている。
- 同じ教材を何度も繰り返していくと、知らず知らずのうちに答えを暗記してしまうことがあります。そのため、論理的な思考によって正解を導くのではなく、「この問題の答は②だった」のような単なる暗記によって正解を導いてしまうことになります。これでは有効な勉強はほとんどできません。そうなってしまった場合には、新たな教材を導入することをお勧めします。
ご質問の方は、今お話しさせていただいた3つの問題点のうち、おそらく2つ以上に心当たりがあると思います。入試本番までまだまだ時間がありますので、1つ1つ問題点を改善していってください。大手予備校の全てのテキストを3回以上繰り返すほどの高いモチベーションをお持ちですから、これらの問題点を改善して、正しい勉強を進めることができれば、間違いなく学力はアップします。頑張ってください!