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化学

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高校生向け 化学の学習の進め方

化学について暗記さえすればよいと言う人がいるようですが、それは正しくありません。もちろん、単純に覚えるしかないものもありますが、多くの事項は基本となる考え方があり、その考え方、つまり本質を理解すれば、決して忘れることはないのです。
さらにその本質と関連付けて覚えてしまえば、単純に覚えるしかないと思っていたものもぐっと覚えやすくなっていくものなのです。

学習の進め方 総評

(1)学習のポイント

高校化学を学ぶ上でのポイントは次の2つです。

① 基本となる単位=物質量(mol)
② 現象理解の手段=図or表or化学反応式

① 基本となる単位=物質量(mol)

高校の化学で初めて目にする単位が「物質量(mol)」です*1。「molが出てくると意味が分からなくなり、授業についていけなくなった」という話はよく耳にします。「物質量(mol)」が分からないと、なぜつまずいてしまうのでしょう。その理由を説明する前に、「物質量(mol)」と他の単位(質量、体積、熱量、電気量、粒子数など)の関係についてまとめた下の図を見てください。

図1.物質量と他の単位の関係

上図でも明らかなように、「物質量(mol)」は皆さんが今までに慣れ親しんできた単位の中継点となっています。
これこそが、「物質量(mol)」が分からないとつまずいてしまう理由なのです。裏を返せば、「物質量(mol)」を使いこなせるようになれば、化学(特に計算化学)に対する苦手意識を克服するための第一歩を踏み出せることになります。同時に、化学を体系立てて理解するための土台作りの準備も整います。したがって、「物質量(mol)を制する者は高校化学を制する」と言っても過言ではないかもしれません*2。

*1:中高一貫校では中学で習うかもしれませんが、教科書に物質量(mol)の記述が見られるのは高校の「化学Ⅰ」からになります。
*2:「物質量(mol)を使いこなす」に加え、「立式時に単位を付記し、式全体の単位と求める数値の単位とが一致していることを確認する習慣を身につければ、正答率は格段に向上します。

② 現象理解の手段=図or表or化学反応式

理科(物理・生物・地学を含む)の学習では「現象(=何が起きているのか)」に対する理解を求められます。しかし、その多くが実際に目で見て捉えることのできるものではありません。そのため、「現象の理解」が、理科の学習における最大の難所だと思われます。では、どうすれば「現象」を理解できるようになるのでしょう。そこで、皆さんにお薦めしたいのが、「図」・「表」・「化学反応式」の活用です。現象が具体的に捉えられるのは「図」、量的関係を明らかにできるのは「化学反応式」、「表」はその中間に位置します。これらの長所を最大限に生かせるように訓練することが、現象の理解に大いに役立ちます。ここでは、一例を挙げてみます。

問.水素と窒素の混合気体を反応させて生成したアンモニアを0.0250 mol/Lの希硫酸15.0 mLに吸収せた。この溶液を0.0500 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定したところ、中和に12.0 mLを要した。生成したアンモニアは標準状態で何mLか。

上の解答では、一文一文を丁寧に読んで、各文の意味を理解しようとしています。しかし、この解答では各文の意味が理解できない限り立式できません。そのうえ、式もやや煩雑に思われます。それに対し、右の解答では、全体の話を理解した上で、要点だけを取り出して表にしています。表にしたことで、どのような式を作ればよいのか、分かりやすくなりました。その上、計算量も少なくなることで、時間短縮につながり、また計算ミスも減ります。時間制限のある入試本番では、絶大な威力を発揮してくれること間違いなしです。

問題集の解答を真似ることも大切ですが、一歩踏み込んでみることで、より実戦的な解法を見つけることができたりします。量(問題数)をこなすのは、実戦的な解法を見つけてからでも遅くはありません。まずは、質(現象に対する理解度)を高めるためにも、「図」・「表」・「化学反応式」を活用できるように取り組んでください。

(2)学習を進めるにあたって

① 問題演習をベースに!

教科書や参考書は1つの体系化された知識として有用です。しかし、教科書や参考書と一言一句違わず同じ文章が出題されるわけではありません。したがって、「一夜漬け」などに見られる丸暗記では、文章が少しでも違うと対応できない、という残念な結果を招きかねません。では、文章の違いにはどのように対処すれば良いのでしょう。

答えは、「慣れ」です。しかし、同じ文章ばかりを読んでいても意味がありません。そこで役に立つのが、過去に実際に出題された入試問題や創作問題で構成される市販の問題集です。実際に問題集を広げ、掲載されている問題を見てみると、教科書や参考書とは異なる「表現」が出てきます。このような「表現」の差異は、問題作成者の「個性」の差異から生じています。しかし、問題として世に出る以上、本質的な「内容」に差異はありません。つまり、出題される「内容」は基本的に似通っているのです。

このことに自発的に気づくためには、同じ問題(集)を何度も繰り返しているだけでは不十分です。異なる問題(集)に取り組むことが大切になります。問題集が異なれば、主題が同じ章でも掲載されている問題の多くは異なります。したがって、現在使用している問題集と同水準の別の問題集から類題を見つけて取り組むことをお薦めします。同じ「内容」を扱った問題を数多くこなすことで、テーマにおけるポイントが自然と明確になり、付け焼刃ではない確固たる知識が形成されていきます。ここまで来れば、より上級の問題集に手を出しても、以前ほど難しくは感じないでしょう。

② 独自のノートを作ろう

入試当日。不安になり、必要以上にノートや参考書を持って行ったことはありませんか。休み時間中に急いでページをめくり、焦って見直しをしたために、かえって焦ってしまった、という経験をした人も少なからずいるはずです。一年の集大成の日に焦るな、というのは恐らく無理でしょう。だからこそ、普段通りにやろう、と心がけることが大切です。したがって、当日の空き時間は、緊張で失いかけている「普段通りの自分」を取り戻すことに力を注いであげるのが、試験に臨む上で効果的です。「普段通りの自分」を取り戻すためにお薦めしたい方法が、「自作ノートの見直し」です

「自作ノート」であれば、自分の弱点、気になる個所だけをまとめることが可能です。自分にとって必要な内容しか載っていないのですから、大した分量にはなりません。また、載っていない内容が出題された場合には「仕方ない」と諦めることもできます。試験は満点である必要はないのですから、良い意味での「諦め(開き直り)」は、精神を普段通りに保つためには大事な要素だと言えます。

入試直前に作ると、あたふたしてしまい、かえって精神的負担になる虞があります。また、焦って作ることになるので、大事な内容の漏れが生じるかもしれません。これでは、当初の目的に適いません。常日頃から意識してまとめておく*ことで、直前期に必要な部分だけをまとめ直すこともできます。何事も「継続は力なり」です。最初は大変かもしれませんが、慣れれば簡単になります。頑張ってください。

*:「まとめる」といっても人それぞれです。ノートに書く人もいれば、付箋を貼るだけの人もいます。目的に適ってさえいれば、やり方は個々の裁量で構いません。