高校生向け 世界史の学習の進め方
世界史では、基本的には教科書と用語集等の内容を隈なく暗記することが必要ですが、まずは時代の流れを把握しなければなりません。また、世界史は各国の歴史の概要を網羅的に学習しなければならないので、全体像を把握するまで時間がかかります。さらには、記述問題にも対応できるだけのトレーニングを積んでおく必要があります。
学習の進め方 総評
1.大学入試のための世界史の学習に取り組むに当たって
世界史を受験科目として選択するに当たっては、世界史の特徴を十分踏まえて、学習に取り組むようにしてください。
- 学習すべき分量が社会の科目の中で最も多い。
- 世界中の国々の歴史の概要を網羅的に学習しなければならないため、世界史の全体像を把握するまで時間を要する。
ただし、一部の難関校は別として、日本史ほど詳細な知識を求められることは少ない。 - 日本史に比べて、小・中学校で学んだ世界史の知識が少ない。
2.世界史の学習においてポイントとなる事項
世界史の知識を自分のものとするためのポイントは以下のとおりです。
事項 | 解説 |
---|---|
① 全体の流れ | 教科書、年表及び図説を使って学習してください。前述のとおり、世界史は全体の流れを把握するのに努力を要します。 |
② 用語 | 文系の難関大学の場合、詳細な部分に関する用語を答えることが要求されます。東洋史で用語を記述する場合、漢字を正確に書く必要があります。 |
③ 年代 | 正確な年代を答えるよう求められることは少ないですが、知っていれば、より効率よく学習できます。少なくとも「何世紀ごろか」はわかるようにしましょう。 |
④ 論述力 | 文系の受験生は論述問題に対応できる力が必要となることがあります。しかし、基本事項を理解した後に論述問題対策に取りかかるべきです。 |
⑤ 地名の位置の特定 | 歴史上重要な地名を地図上で特定できることが大切です。 |
⑥ その他 | 教科書などに掲載されている写真がどのような遺跡や文化財を示しているのか特定できることや各国別通史や文化交流史などある一つのテーマに沿って史実を捉えなおすことなどが大切です。 |
3.学習の進め方
世界史は、前述のとおり理解・暗記すべき事項が多く、またそれらの事項のつながりや歴史的な位置づけといったことも学ばなければならないため、独学だけでは全ての範囲をカバーしきれないことがありえます。
原則として、まずは高校の授業をしっかりと聴いて、学校の授業の進度に合わせて学習するようにしてください。そうすることが最も効率的に理解できる方法です。
以下に文系の受験生と理系の受験生に分けて学習の進め方を示しておきます。
(1)文系の受験生
① 学習のスケジュール
遅くとも8月までに教科書の記載事項を十分に理解しておくようにしてください。9月以降はさらに文化史等のさまざまな切り口で歴史を捉え直す作業を行うようにしてください。
② 高校の授業の進度が遅い場合
高校によっては、授業の進度が遅く、近現代史を受験直前期に学ぶことになる場合があります。入試では、戦後を含む近現代史の知識をきちんと把握していなければ、問題に対応できません。
このような場合には高校の授業で学習しているところよりも先に進んだところを自分で学習することになります。
(2)理系の受験生
① 学習のスケジュール
センター試験対策としては、8月末までに一通りの範囲の学習を終えて、9~11月は3日に1回のペース、その後12月に入ってからは最後の仕上げをしてください。センター試験の過去問には早めに(9~10月ごろから)着手してください。