倫理 日常学習
倫理という科目の特徴
倫理という科目は、自己の生き方に直接に関わる学習ができる科目です。人生をどう生きたらよいか、自己とはどのような存在なのか、社会にどのように関わっていけばよいかなど、人間や社会についての疑問に応え、人生にかかる諸課題について探究を深め、自己の人生観、世界観や価値観の確立や自身の判断基準を明確にすることに役立つ科目です。
具体的には先哲の思想、さらに人格の形成や青年期の意義と課題を通して、倫理的な諸価値と課題について学ぶため、人間としての在り方や生き方についての手掛かりを得られ、社会の一員としての自己の生き方が探究できる科目です。
ニュートンは、その偉大な業績を達成できた理由を聞かれて、「巨人の肩の上に立っているからだ」と答えました。つまり、これまでの科学者が発見した人類の英知の上に立つことで、より遠くが見通せるという意味です。私たちも古今東西の英知を学び、その成果を活かしてさらに前進できるでしょう。
1.教科書の徹底的な理解が大切
倫理で扱う範囲は大きく分けて「青年期の特質と課題」、「思想の源流」、「日本の思想」「西洋近代の思想」、「現代の思想」、「現代社会の課題」の6分野です。これらは教科書に網羅されているため、教科書のすべての分野の重要事項を理解し、記憶することが求められます。また、思想などについては専門領域に深入りしすぎないような配慮もされてあり、入試での出題も原則としてその範囲からです。教科書はページ数が限定されているため無駄なく基礎的事項が記述されてあります。そのため、全範囲を短時間に効率的に知るには教科書を読むことが最も近道です。
2.教科書は少なくとも3回は読もう
教科書の記述は凝縮されているため、その内容を理解するのはそんなに簡単ではないはずです。特に先哲の思想などは古今東西に渡っていて、現代日本の常識とはかけ離れた状況での活動なので、教科書を1回だけ読んでマスターしようとすることは無理です。じっくり読み込まなければならず、少なくとも3回は通読することが必要でしょう。
まず、1回目では何を論じているかについて、大まかに内容を理解することを目標に全部を通読して下さい。例えば、儒家を理解する際には、墨家や老荘思想の批判に照らして違いを掴んで下さい。
2回目では精読しましょう。少しでも疑問な点があれば、資料集、用語集、参考書などで内容を確認して徹底的に理解できるように努めましょう。特に現代思想の分野(フランクフルト学派、構造主義、言語ゲーム、脱構築、レヴィナス、ハンナ=アーレント、ロールズなどの思想)を理解するのは難しいはずです。
3回目はそれまでの内容を想起しつつ記憶することに努めて下さい。
3.暗記の前に理解することが大切
まず、理解できることが先決で、理解したうえで記憶をすべきです。ただ言葉を断片的に記憶しても、その概念や繋がり・関連性まで理解していないと意味がありません。入試ではきちんと理解していないと解けない問題が出題されます。
また、理解できれば記憶の保持も持続するという利点があります。もちろん記憶すること自体も大切で、記憶だけを独自の課題として取り組む必要も入試本番近くになればありますが、それでも理解することが一番重要です。
そのため、世間で言われる「社会科は暗記科目だ」という見方は、ただガムシャラに暗記する科目だという意味なら間違いであると言えます。