古文 日常学習
1.勉強の進め方
古文は昔の日本語で書かれた文章です。現代語と共通の単語や表現も少なくないので、簡単な文章は、古典文法の知識がなくても読めることがありますが、難解な文章は知識なしに読んでも、ほとんど理解できません。簡単な文章でも、正確に読みとって解答するためには、文法や単語などの語学的知識だけでなく、時代背景などの予備知識も必要です。まずは、外国語の学習だと考え、文法の知識を使って、正確に読み取る練習が大切です。
そこで、古文学習の段階は次のようなものになります。
① 文法の学習(1ヶ月~2ヶ月半程度)
学校などで古文の基礎について授業がある場合は、授業に沿って学習すればいいでしょう。自分で勉強する場合には、古典文法の問題集を2~3回繰り返してやり、解説を見なくても練習問題が解けるようにしましょう。
② 精読(1ヶ月~2ヶ月程度)
学校などで読解の授業があれば、授業に沿って進めればいいでしょう。自分で勉強する場合には、基礎的な読解の問題集を15題前後、文法の知識を使って丁寧に読む練習をしましょう。
③ 多読
ある程度、正確に読めるようになったら、様々な文章を読んで、古文の文章の内容に慣れておく必要があります。
以下、それぞれの段階について、詳しく説明します。
2. 文法の学習
読解の練習をする前に、文法の知識を一通り頭に入れておきましょう。全く文法の知識がないと、わからない部分が出てきたときに、考える手がかりがありません。ただ、最初から完全に頭に入っていなくても、読解の練習をしながら疑問点を確認し、定着させていくことが大切です。
文法の学習で特に重要なのは、助動詞・助詞・敬語です。意味の基本や、文の構造を決める助動詞・助詞が現代語とはかなり異なるため、特にきちんと使いこなせるようになる必要があります。
助動詞は活用して形が変わり、しかも、同じような形になるものが多いため、どの助動詞なのか見分けたうえで意味を考える必要があります。きちんと見分けるためには、接続(上に何形がくるか)と活用を確認することが必要です。また、接続を確認するためには、動詞・形容詞の活用も頭に入れておかなければいけません。助詞は活用しないので、基本には、単語として意味を覚えれば対処できます。ただし、接続によって意味が違う「ば」などは、接続をよく確認して、区別する必要があります。
敬語も単語として意味を覚えれば、ほぼ対処できますが、本動詞と補助動詞の区別や、敬意の対象など文法的な仕組みが尋ねられることもあるので、よく理解しておくようにしましょう。
3. 精読
文法がひととおり頭に入ったら、文法の知識を思い出して活用しながら、文章を正確に読み取る練習が必要です。単語ごとに区切って、特に助動詞に注意しながら、できるだけ直訳して意味を考えてみるようにしましょう。この練習を繰り返すことで、完全には覚えていなかった文法の知識も、きちんと頭に入り、使いこなせるようになっていきます。
簡単な文章は、それほどきちんと読まなくても、内容の見当がつく場合もありますが、わかりにくい文を理解するためには、文構造を考える作業に慣れておく必要があります。最初のうちは、かなり時間がかかりますが、慣れてくるとすぐに判断できるようになるので、面倒がらずに練習するようにしましょう。
また、きちんと意味が理解できた文章を、何度も音読することも、慣れるために有効ですので、できるだけ行うようにしてください。
精読と平行して、単語集で単語の暗記も行うようにしましょう。単語は、250語ぐらいが知っていないと文章が読めない最小限で、入試問題に対処するためには、500語ぐらい知っておく必要があると思ってください。
また、和歌にも、いくらか慣れておく必要があります。和歌も、基本的には普通の文なので、まず単語に分けて訳すことが、基礎になります。ただし、和歌には句読点がついていませんが、途中に文の終わりが来ていることがあるので、切れ目に注意する必要があります。訳してみて、意味がわかりにくい場合には、掛詞や序詞など和歌特有の表現を考慮することになります。
4.多読
文法の知識を活用して、正確に読む作業に慣れたら、様々な文章を読んで、古文の文章の内容に慣れておく必要があります。
古典の文章は、ある時代の人が、その時代の人に読んでもらうために書いたものなので、その時代に常識だった生活様式・儀式などは、詳しい説明のないまま出てきます。そうした部分が話の筋と関わっている場合には、知っておかないと内容がわからない場合もあります。
また、一定の分野の文章には、よくある話の展開のようなものがあるので、慣れておくと話の流れがわかりやすくなる場合があります。
こうした古典常識を身につけるために、まず重要なのは、解いた問題のわからなかった部分や話の展開のわからなかった部分をよく確認しておくことです。問題の正誤だけを確認するのではなく、話の筋でわからなかった部分を、現代語訳や解説で、その都度、確認しておくようにしましょう。さらに、必要があれば、国語便覧や古典マンガなども参考になります。
5.問題の解き方
古典の問題は、設問自体が複雑なことはなく、きちんと読み取れていれば解けることがほとんどです。わかりにくいときは、本文自体の内容や表現がわかりにくい可能性が高いので、本文をしっかり読み直す必要があります。
まず、注意しなければいけないのは、導入部分の解説や、注に書かれている説明も、本文の一部だと思って、きちんと読むことです。解説の部分に解答の手がかりがあることも少なくありません。マーク式の問題の場合は、選択肢に書かれている内容も、ヒントになることがあります。
また、登場人物が多い場合、特に似た呼び名の人物が出てくる場合には、登場人物の人間関係を書き出しておくことも、間違いを防ぐのに有効です。
訳の問題は、マークでも記述でも、精読の基本にもどり、一語一語、意味を確認して、正確に訳していくのが原則です。